高所法面の無足場工法は、斜面上部に設置したアンカーと作業機体をワイヤーで接続することによって、充分な安全を確保してから斜面上で作業を行うというものです。ですから、アンカーは斜面上ので作業中の機体を確実に保持できることが必須条件です。
アンカーの設置
機械を支えるアンカーの設置については、現場全体および設置部周辺の傾斜角、工事の規模、施工期間などを考慮にいれて、次の5種類の中から選択します。
@生立木によるアンカー(樹木を使用したアンカー) A埋込みアンカー Bコンクリートアンカー Cロックボルト使用アンカー D重量置換えアンカー(重機を使用したアンカー)
この中で最も多く用いられているのが生立木によるアンカーです。
また、アンカーは必ず2カ所設置します。これは作業機械にウィンチを2基搭載しているためです。
アンカーの強度
では、アンカーはどのようにして選ばれるのでしょうか。例えば、生立木によるアンカーは作業機体を支えるだけの強度を持った生立木を選ぶ必要があります。幹の太さ等をチェックして、適切な生立木を選びます。 続いて、その生立木がアンカーとして相応しい強度を持っているのかを確認する試験を行います。この試験は、作業機体の最大荷重を算出した上で、使用予定のアンカーに実際の作業でかかる以上の負荷をかけるというものです。こうした試験で安全性を確認して、問題のない生立木をアンカーとして採用します。
【資料・アンカー設置作業手順のフロー図】
【資料・法規によるロープの用途別安全率】
アンカー方法の選択
作業機械を保持するためのアンカーには様々なものがありますが、信頼度と設置の難易度から考え、生立木アンカー、埋込みアンカー、コンクリートアンカー、ロックボルト使用アンカー、重量置換えアンカーの中から選択します。
まず候補として挙がるのが生立木アンカーです。適切な場所に充分な強度の樹木があれば、最も経済的にアンカーが設置できます。
現場に適当な生立木がない場合もあります。アンカー設置予定地の土質が比較的やわらかくて掘削が容易であった場合は、埋込アンカーの施工を検討します。埋込みアンカーは、斜面上部のアンカー設置か所に丸太などを埋め込んで、それをアンカーとして使用するものです。
土質の硬軟や周辺の状況次第では、コンクリートアンカー、ロックボルトアンカーの施工が必要になる場合もあります。重機をアンカーとして使用する重量置換アンカーという方法もあります。
もちろん設置の方法によっては、かかる工費が変わってしまいますので、工事を行う現場の状況を正確に把握して、適切なアンカーを設置するということは、経済的で効率も良く、しかも安全な工事を行うために重要なことなのです。
左写真は生立木にスリングベルトを巻き、シャックルを用いてワイヤーロープを接続した状況です。こうしたアンカーを2か所設置してから、ロッククライミングマシーンとアンカーロックマシーンは作業を行います。 樹木選定の際は、右写真のように生立木の太さを計測して選定します。 |
【ロックボルト使用アンカー設置例】
【重機を使用した重量置換アンカの設置状況】
写真は生立木アンカーの引張試験の様子です。充分な太さの樹木を選び、実際に工事中にかかる以上の負荷をかけて安全性を確かめます。 |
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